2012年2月27日月曜日

語彙学習

日本語学習者は、完全に「使いこなせる」レベルには至っていなくても、言語行動のなかで有意義に語を使っている。つまり、中間言語における語彙の習得にはさまざまな深度があり、ある語を「まったく知らない」というレベルと「完全に使いこなせる」レベルとの間には無数といっていいほどの段階がある。語の習得は、「形式」「意味」「用法」に関する知識を少しずつ積み重ねていくことによって進んでいく。習得の深度が深くなってく過程を認知活動との関連から見ると。次の三つの段階が考えられる。
1:「気づき」:学習者がある語について「未知である」と認識し、その語の形式と意味の照合を行うこと。具体的には、「辞書を引く」「その語について教師の説明を求める」「文脈からその語の意味を類推する」などして、意味を認識することである。この段階では、文脈の中でその語を取り出して意味を確認することになる。この文脈のから取り出しがないと、文全体の意味は理解しても語の習得としての進展はないと考えられる。
2:「想起」一度「気づき」を経った単語に再度出会った際、前回の「気づき」の記憶に再度アクセスすること。具体的には「この単語は前にも聞いた/見た」と想起することである。同じ語に繰り返し接触することは習得の大事な要件だが、それが「繰り返し」であることを学習者自身が認識することが「想起」であり、「想起」を伴わない繰り返しは学習者にとって初めての接触と同じである。
3:「生成」:すでに接触経験のある語に以前とは異なる文脈で出会うこと。さまざまな文法形式やさまざまな語との組み合わせによる接触を重ねることで、その語に関する知識に幅や深さが加わっていくと考えられる。
 「気づき」「想起」「生成」の過程を効果的にへるための具体的な学習活動の条件として、次のようなことが考えられる。
1:同じ語への繰り返しの接触を記憶が薄れないタイミングで得るようにする。
2:同じ語にできる限り多様な文脈のなかで接触するようにする。

0 件のコメント:

コメントを投稿