造語法は新しい語を作り出す方法である。造語法としては、語根創造と既存の言語要素を利用した造語の二つしかない。語根創造とは既存の言語要素を利用せずに、まったく新しい語がつくられることを言う。現代においては語根創造によりまったく新しい語がつくられるのは、擬声語.擬態語を除いてほとんどない。大部分の造語は既存の語を基につくられるが、「合成法」「転成」「略語」「借用」「混淆」「逆成」「文字.表記によるもの」などの方法がある。
合成法_合成法とは、複数の形態素を結合させて語をつくる方法で、二つ以上の語基から成る複合法と、語基と接辞からなる派生法と大きくわけられる。複合法によってできた語を複合語といい、「テロ対策」「飛び上がる」などがある。派生法によってできた語を派生語といい、「不自然」「積極性」などがある。
転成_転成法とは、既存の語の機能や意味を変えて、別の品詞の語としてはたらかせることをいう。動詞の連用形「休み」「怒り」など、そのままの形で名詞に転成するものが多い。また。副詞.接続詞.連体詞.感動詞は転成によって元の語の品詞を転じてできたものが数多くある(「例えば」「つまり」「もしもし」など)。
略語_略語は語の一部分が省略されることによって語形が縮約されたものである。発音上の便宜から短縮化された略語が大半であるが、隠語や流行語のように特定の仲間内だけに通じるよう故意につくられたり、娯楽的な目的でつくられたりした略語もある。略語4モーラのものが最も多い。語種から見ると、外来語と漢語に略語が多い。これは元の語が使用頻度が高いのに長大な語形が多いためである。省略される部分は「(アル)バイト」のように語頭の場合と「警(察)官」のように語中の場合と「インフレ(ーション)」のように語尾の場合がある。
借用_借用は広義では異なる言語あるいは古語.方言から語彙を受け入れることで、前者を外部借用、後者を内部借用という。「外部借用」は、日本語の場合、大きく二つの系統に分けられる。一つは古代中国語から受け入れてきた多くの語彙の場合であり、その借用語を漢語あるいは字音語と呼ぶ。もう一つの系統は、外来語あるいは洋語とよばれるものである。それに、外来語に対しては借用語意識が強いが、漢語は固有語に近く扱われている。
混淆_混淆は、「破るの前部分と裂くの後部分をつないで「やぶく」のような新語をつくることをいう。元来はいい誤りや記憶違いが広がり、それが固定して出来たといわれる。近年は生物界における混種、「smog(smoke+fog)」のような混淆語が見られる。
逆成_逆成はもともと派生語ではない語の語末部分を派生語尾をと考え、その語尾を切り離して別の新しい語をつくりだすことであるが、日本語の例は少ない。英語ではこの逆成によってなどの接尾辞を取ってつくられた動詞が多い。(beggar_beg、editor-edit)
文字.表記による造語_文字.表記による造語は日本語の場合、ほかの言語にくらべて多い。これはひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字の4種の文字を併用しているからである。「米寿」(八十八歳。「米」を分解すると八十八になることから)「Tシャツ」はローマ字の字形に由来する。文字.表記による造語はもともとは誤写や誤読によるものが多かったが、近年、風刺性、娯楽性を意図した意識的な造語が増加している。
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