2012年3月5日月曜日

言語の構造

言語にはいろいろな面で構造と呼べる性格が存在している。それについて、次の二つの特徴を指摘することができる。
 第一は、言語の世界の要素にはさまざまなものがあり、それらは互いに直接的に、または間接的に関係をもって、まとまった存在をつくっていると考えられる。これは、言語だけではなく、常識的に考えた場合の構造というものの一般的特徴である。
 第二は、言語において認められる構造は、単なるいくつかの要素から成る構成物ではなく、ある働きを行う仕組みであるということである。その働きとは、あることがらについての情報を言語記号の形に変換して表現する、そして表現された形から内容を把握するという一種の情報処理の過程である。
 日本語の語彙構造とは、言語を語彙、文法、音形、表記、談話、言語行動、待遇表現などの諸分野に分けて、それぞれの構造を取り上げることである。日本語の文法構造は、言語(全体の、または分野別の)における伝達の仕組みの一般的な枠組みないしは型をなす側面を対象とする。
 言語について、体系、組織、機構など構造に類似した意味でつかわれる概念がある。それらは構造と共通点もあれば、異なる点もある。たとえば、構造と体系は「対象とする言語の一般的な伝達のしくみ」を問題とする時は、両者とも使える(「日本語の構造」、「日本語の体系」)しかし、具体的なある文の文法的構成については「文の構造」といっても、「文の体系」とは言わない。

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