日本語教育能力検定試験に合格するための言語学
エンパシー
心理的静的な遠近感覚は、エンパシーというものに関わっている。エンパシーは共感度と訳されることもある。日常生活であることに共感を持つの共感と違い、身内度と言ったほうが近い。日本語は「身内かどうか」という基準で言葉を使いわけるわけである。この基準を「エンパシー」と呼ぶ。
ヴォイスとエンパシーによって、次の表になる
ヴォイス | Aが身内 | Bが身内 |
Aが前景 AがBに本を | さしあげる あげる やる | くださる くれる くれる |
Bが前景 BがAに本を | いただく もらう もらう |
本によっては、「あげる」、「くれる」などの使いわけだけではなく、どちらかが前景の問題も含めている。「エンパシー」と「ヴォイス」を分けて考えておいた方がいいと思う。
例:田中さんが弟に本をくれた。
(私にとって、弟が田中より身内の存在である)
弟が私に本をくれた。
(私自身が一番エンパシーが高い)
血縁関係だけではなく、地域、民族、国家によって心理的な遠近感覚も生じる。日本人にとって、同じ日本人は近い、外国人は遠く位置を付けられる。
また、動詞のテ形につく補助動詞「あげる」、「もらう」などの利益の授受表現を実に多用している。
例:私が「わからない」と言うと、その人は私を車で連れていってくれた。
(その人が私に利益を与える)
では、「月の砂漠」を歌わせていただきます
(皆さんが私を歌わせる。そのような力を与えくたさるのは、私にとってありがたいことである。皆さんが私を歌わせることで私は利益をいただく)
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