2011年10月31日月曜日

外国語教授法

外国語教授法には、三つの側面を認めることができる。
 1、  特定の言語観と言語学習観に基づく教授法理論
 2、  ある教授法理論に基づく指導法
 3、  具体的な教室活動の手順や技術
文法翻訳法
文法規則の説明、対訳による単語の理解、翻訳練習などが行われる
文法翻訳法で前提とされている言語観
 1、  文学作品などの文字言語は音声言語よりも優れている
 2、  目標言語のすべての単語には、対応する母語の訳語ある
言語学習観
 1、  翻訳が出来るようになることが外国語学習の成功を表す
 2、  外国語学習は知的訓練に役立つ

直接法
 十九世紀にヨーロッパ諸国では、人々の往来が盛んになった。そのため、文学鑑賞や知的訓練以外紺コミュニケーションなど実用的な成果が外国語教育に求められるようになった。十九世紀後半になって、直接法が提唱された。
ナチュラル.メソッド
ゲアン式教授法
幼児が母語を習得していく過程を詳しく観察し、そこで得た結論を外国語教育に応用した。まず、すべての出来事は、小さい出来事の連鎖として記述できるとし、動詞を重視し、一連の動作を順を追って言い表すことが最も記憶に残りやすいと考えた。幼児が母語を覚えるのと同じように
聞いて理解する→話す→読む→書く
の順で、努めて自然な状況で目標言語と接触させるようにした。

ベルリッツ.メソッド
ベルリッツが母語を教室活動から徹底的に排除した。母語による文法説明は行わず、教師は絵や身振りを駆使して、文や語の意味を理解させようとした。また、発音も、教師のモデルを真似させるだけで、発音の仕方の説明や矯正などの指導が行われなかった。
フォネティック.メソッド
音声言語が一義的なものであり、文字言語は二次的なもの、いわば、付随的なものであるという音声重視の立場である。ゲアン式教授法ヤベルリッツ.メソッドに対して、音声記号を用いた系統的な音声指導を目指した点が特徴として挙げられる。
オーラル.メソッド
二十世紀に入り、パーマーが提唱した。外国語習得に幼児の母語習得を再現するために
1耳による観察2口まね 3口ならし 4意味付け 5類推による 6作文
を見出した。そして、この習性を養成するため七つの方法を提唱した。
1音を聞き分ける練習 2発音練習 3反復練習 4再生練習 5置換練習 6命令練習 7定型会話

直接法とは、翻訳を介さない理解を最終目標とする教授法の総称であり、媒介語を使わずに「直接」目標言語で教えるという意味ではない。

2011年10月30日日曜日

子音の分類



両唇音
歯茎音
硬口蓋音
軟口蓋音
声門音
歯茎硬口蓋
歯茎破擦音
破裂音
「p」
パ行
「b」バ行
「t」タ
テト
「d」ダデド

「k」カ行
「g」ガ行


チチャ
チュチョ
ツヅズ
摩擦音
「s」サ
スセソ
「z」ザゼゾ
ヒヒャ
ヒャヒョ

「h」ハヘホ
シシャ
シュショ
ジジャ
ジュジョ

鼻音
「m」マ行
「n」
ナ行





接近音
「w」
ワ行


「j」ヤ行



弾き音

「r」ラ行







2011年10月29日土曜日

文法語順

文法というのは、語の形成や文の構成を説明する規則の集合である。
 入力される情報を逐一処理するやり方をボトムアップ方式という。例えば、片仮名で記されたで電報文を読み進めて意味を理解しようとする過程ではこの方式が用いられる。
 文法を教えることは、語順を教えることである、と言い切っても言いすぎではない。語の配列順序が大切である。語の集合体では、構成要素は同じであっても、それらの順列が異なれば意味が変わってくるのである。語と語のこうした関係は連辞の関係と呼ばれている。母語と目標言語の語順の異同を意識市、相違を克服することが学習の目標の一つとなる。
 基本語順
 基本語順を観察場合は、まず、主語(S)、目的語(O)、述語(V)がどういう順列で配列されているかを確かめることからはじめる。
 SOV型:日本語、朝鮮語、トルコ語、ヒンデイー語、タミル語、ビルマ語など   約45%
 SVO型:中国語、英語、フランス語、ロシア語タイ語、マレイ語、インドネシア語など約35%
 VSO型:アイルランド語など                        約18%
 VOS型:まれ
 OSV型:まれ
 OVS型:まれ
 SOV型の言語は修飾語(句)+被修飾名詞という語順である。
 SVO型の言語は被修飾名詞+修飾語(句)という語順である。
 修飾の規則性という点から見ると、一貫性がないと言っても過言ではない。日本語のように修飾関係が整然とした言語のほうがすくない、多くの言語は、英語のような混交型であると言える。

2011年10月28日金曜日

プロミネンス、リズム、ポーズ

プロミネンスとは、一部のアクセント節を高くしたり、高低の幅を大きくしたり、速くしたり、遅くしたり、強くしたりすることである。イントネーションの文全体の音の高さをさすという機能と違い、プロミネンスは文の情報の焦点(フォーカス)に注目し、その一部分で高く際立たせて言い、それ以後を低く抑えて言うことになる。
今夜 タクシーで 海辺の ホテルへ 行きます。
 (昨日ではなく、明日でもない、時間は今夜)
今夜 タクシーで 海辺の ホテルへ 行きます。
 (新幹線ではなく、マイカーではなく、タクシーである)
今夜 タクシーで 海辺 ホテルへ 行きます。
 (山ではなく、森ではなく、海に行くことである)

 リズムは、何かが規則的に反復することによって生ずる感覚のもたらす現象である。日本語のリズムがモーラの等時性によるのではなく、長短の配置特徴とビートという概念の組み合わせである。
 教育に応用する方式はモーラよりも大きい単位を設定して、リズム現象を捉える。
 一は、俳句や短歌などの音文では、2つのモーラを一つにしたフットという単位で発話されるが、これによってリズムが形成されると考えるものである。
 二は、リズムの形成には2モーラ分の長さと1モーラ分の長さを持つ2種類の単位があり、この2つの単位の長短の組み合わせでリズムを捉えようとするものである。
 2モーラ分の単位は{(C)VN,(C)VQ,(C)V(C)V}(C:子音、V:母音、N:撥音、Q:促音)
 1モーラ分の単位は{(C)V}である。 (C)は、子音があってもなくてもよいことを表す。
 例:1 食べ/られ/ます  (長長長で3ビート)
   2 とっ/て/おい/て  (長短長短で4ビート)

 ポーズとは、発話中の無音区間をいう。(促音や破裂音などの調音に伴う場合を除く)「あの」「エーと」などの間投詞もポーズの一種である。
 ポーズには3種類がある。 
 1、息継ぎのためのポーズ。発話が呼気を利用して行われる以上不可避である。
 2、文法的切れ目と関係した構文的ポーズである。息止めの場合が多い。
 3、聞き手の意味理解に配慮した結果としての意味上のポーズである。聞き手は、小さなポーズで文と文とが意味的に続いていることを、大きなポーズで段落の区切れを知る。

2011年10月27日木曜日

アクセント

複数の語を文として一続きに発話して意味的にひとまとまりとすることで、語が単独したときの高低のパターンと異なったものになることを準アクセントと言う
 前部が平板式:後部1拍目の「低」が、前部に続いて「高」になり、1拍目から2拍目への上がり目はなくなる。後部の下がり目は変わらない。
 前部が起伏式:後部1拍目の「低」はそのままで、1拍目から2拍目への上がり目がなくなり、2拍目も「低」になる。後部の下がり目は残り、その後ろの「低」はさらに低くなる。
 アクセント節の中で上がり目は消えることがあっても、下がり目は消えない。と言うわけ、アクセントの本質的な部分は下がり目である。
 用言、複合語のアクセント
 動詞:動詞のアクセントは、平板式か、後ろから2番目の拍がアクセント核になる。
    アクセント核がなるべき拍が特殊拍(長音、促音、撥音)やそれに準ずる母音拍、無母音拍のときは、アクセント核が前にずれることがある。                     母音無声化は、無声子音に挟まれた狭母音イ、ウが、声帯振動を伴わなくなる現象と言うことである。句頭の中母音、広母音でも、無声化が生じることもある。
 形容詞:動詞と同様、平板式化、-2拍目がアクセント核になる。
     母音拍や、無声化母音がアクセント核になるとき、アクセント核が一つ前にずれることがある
 複合名詞;後要素の名詞によってアクセントの型が決まる。後要素の元のアクセント型が、中高型以外のものの場合、後要素1拍目がアクセント核になる。後要素が中高型の場合、後要素の元の核の位置を保つ傾向が強い。
 語+接辞類:「~課」「~語」「~側」「~組」などは平板式になる。「~機」「~市」「~館」「~券」「~学」などは、後要素の直前の拍がアクセント核になる。前部の最後の拍が特殊拍いや母音や無声化母音拍の場合は、アクセント核が一つ前にずれる。

2011年10月23日日曜日

アクセントとイントネーション

アクセント
定義:1一つひとつの語について     
   (アクセントの単位は語である)
   2社会習慣として恣意的に決まっている
   (そのように言うことこが習慣として決まっているからに過ぎない、理由がない)
   3相対的な高さや強さなどの配置
   (絶対的な高さではなく、前後の音と比べてこれがこれより高いか低いか)
アクセントの弁別機能は低く、あんまり重要ではない。

アクセントの、高から低になる下がり目を滝といい、滝の直前を核という。
起伏式、核がある
    頭高型 一拍目に核がある
    尾高型 最終拍に核がある  助詞が付いた場合最終拍が低くなる
    中高型 語の途中に核がある 
平板式、核がない 
    助詞などが付いた場合でも下がらない
助詞などがつけずに発音すると、たいてい尾高型と平板型は同じ高低になる

イントネーション
広義には、文全体の音の高さの変化を指す
狭義には、話者の表現意図に関係する、文末、句末における音調を指す
上昇調:「質問」「進め」「誘い」などに用いられ、優しい言い方である
    「読んだ?」「どうぞ」「読んで」
平調 :中立的な発話に用いられる
下降調:「発見」「了解」「確認」「納得」などに使われる

イントネーションは、円満なコミュニケーションを実現するうえで重要な役割を果たしている

戦前までの日本語教育の流れ

キリシタン
1549年、イエズス会宣教師フランシスコ.ザビエルが来日を最初として、たくさん宣教師がやってきた。
1579年来日バリニヤーノが教育方法を改革、セミナリオ、ノビシアド、コレジオという教育機関を確立した。1590年、活版印刷機を持ち込んだ。『平家物語』『イソップ物語』『金句集』『羅葡日辞書』『落葉集』などを作られた。
1603-04年『日葡辞書』、04-08年『日本大文典』が刊行され、この時代の音声を知るため重要な資料となっている。
1641年、幕府の鎖国政策が始まって、宣教師の時代が完全に幕を閉じた。
ロシアの日本語学校
1696年、大阪商人がロシアに漂着、教師として日本語学校を設立した
1816年、教師が確保できないと財政難の原因で、閉鎖された。
欧米での日本語教育
1815年、ホフマンがオランダの大学で日本語授業を行い、『日本文典』を版行した。
ヘボンが『和英語林集成』で用いた英語式ローマ字表記法を「ヘボン式』と言い、現在も広く使われている。
植民地での日本語教育
台湾
1895年台湾にわたっていた伊沢修二が芝山厳学堂を開設して、日本語を教え始めた。
1922年から、台湾の教育は進学を目指し、日本国内の日本語教科書に近づき、日本の「自由教育」に影響されて、教育が一本化になった。
1930年代、台湾の日本語教育は皇民化教育へ進んだ。社会で日本語が使用限りということもあった。
1945年、日本敗戦により台湾の植民日本語教育が終わりを迎えた。
朝鮮
1891年、朝鮮政府は日語学堂を設立した。
1910年、韓国は日本に植民地化され、日本語を国語と呼ばせられていた。「忠良ナル」国民の養成を目的として、国語と修身は必修された。
満州
1932年、日本は中国東北三省で溥儀を皇帝として満州国を建国させた。日本語が初等中等教育で必修され、「速成法」という教授法が採用されていた。
南洋諸島
第一世界大戦で日本は南洋諸島を占領した。
1920年以後南洋諸島で日本語教育を義務教育として行われた。
1986-94年諸島は米国の自治領となっていた。

山口喜一郎の直接法は、幼児が第一言語を習得する過程に習った教授法で、教師が動作を実演して理解させ、学習者はその動作をまねしながら目標言語の音声を学ぶというものである。

大出正篤が考案する速成法は、教科書を「訳注法」として、母語の対訳、語注、振り仮名をつけてこの予習は家で行わせ、学校の授業では会話の練習を重視して口頭能力の養成日に力を入れるというやり方である。

訳読主義は、中世ヨーロッパでラテン語を教えるための外国語教授法で、原典を正確に理解するための読み書き能力が重要であり、会話能力は軽視されていた